この日審判長を予定していた山口幹事だが、早朝、母君の異変の知らせあり、８時過ぎ急いで島根県に帰郷の途に。大慌ての谷野会長だったが、迫田幹事や選手の父兄の協力を得て、成績表づくり等の準備を進め、なんとか大会開始を迎えることができた。参加人数枠として１６人を設定、枠一杯の参加で大会は始まった。
試合は、スイス式トーナメント4回戦で３勝以上者が予選通過として決勝トーナメントを行うことになっていた。
写真から、試合開始直後の独特の雰囲気を感じていただけるだろうか。身の引き締まるような緊張感と、あふれ出る静かな闘志、これがたまらなくいいのだ。
手前が篠原ももー村田楽○、その奥が藤里―上原○戦、その奥は板垣ー中谷○戦である。（○印が勝者）
これも試合開始直後の写真である。手前が鷹取―三浦○戦、河口―深澤○戦、野島ー貫島○戦である。
鷹取の姿勢がピシッと決まっている。みんな見習おう！
１回戦の勝者８人が２回戦で激突した。手前から、宮瀬―中谷○戦、柿本―三浦○戦、深澤ー貫島○戦と並んでいる。
これまでの対局風景の写真３枚の９局はいずれも向かって右に座っている選手が勝っている。こうなる確率は５１２分の１と極めて珍しい現象だ。
２回戦を終えて２連勝は、貫島、三浦、中谷、村田の４人だった。
予選の成績上位者は、貫島が４勝で１位、村田が３勝１敗で２位、中谷が３勝１敗で３位、野島が３勝１敗の４位、柿本が３勝１敗の５位。３勝以上の５人が決勝トーナメントに進んだ。
写真は、手前から、柿本―中谷○戦、野島○ー村田戦である。
ひょこり、石井が顔を出した。さっそく上原と“研究会”。柿本、三浦、村田が観戦している。手前の方では板垣、藤里の姿も見える。
決勝戦は（背中）貫島○―野島の戦いとなった。上原が棋譜を記録し、柿本、中谷が少し離れたところから観戦している。手前では石井―三浦で研究会が行われている。ふたつの将棋の間に藤里が立って両方の盤面を観戦している。
時計は８時を回っているが、激戦は続いている。両対局者は真剣そのものの表情だが、記録や観戦者が笑っているように見えるのはなぜか？
将棋は、野島のごきげん中飛車に対し右玉作戦をとった貫島が９筋（玉側の端）を破りそのまま優勢を保ち、野島の反撃をかわして押し切った。
うれしい表彰式である。顔がはっきり見えないのは受賞の際、おじぎをして貫島の頭が大きく動いため。写真に手を加えたのではない。
「野島君の棋力は強い四段」とは、中谷の評。
若者の進歩は目覚ましい。野島は広島将棋界に輝く新星になるだろうか。まだ中学生、前途洋々、谷野会長の期待は膨らむ。
決勝戦進出こそ若手に譲る結果となったが、実はまだまだ若く、同年の柿本と共に、広島将棋界のリード役としてこれからも健闘が期待される。
決勝トーナメントに残った５人の内、優勝の貫島(１５歳、奨励会３級)は別格としても準優勝の野島(中学)、４位の村田(小学）と若い世代が強豪ベテランのひしめくなか、堂々の活躍をした。若手の台頭が顕著だ。今後のベテラン強豪との対決が楽しみである。今大会、級位者３名、初段１名の小学生４人の参加も目をひいた。次世代育成の必要性を口癖のように唱える谷野代表の思惑がある。日本古来の伝統文化を育成、発展させるべきーーーーー今大会は総じて好評のようで、継続開催を望む声も多い。