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4月12日 例会

新年度に入って最初の例会である。20人近い参加で、終日将棋を楽しんだ。

こども教室の終礼

10時半になり、こども教室に、谷野席主の声が響いた。
姿勢を正し、びゅんびゅん振り回される竹刀の先を見ないようにしている(見ていると目が回ってしまうことがあるから)こどもたち。はた目には、一応静かに聞き入っているようには見える(本当に聞き入っているかどうかまではわからない)。
(谷野席主)「――(どんな内容だったか忘れたので省略)――ということだ。わかったか!」
(子供たち)シーン
(谷野席主)「返事は!」
(子供たち)小さな声で「はぁい」
(谷野席主)「声が小さい! 聞こえん!」
・・・・・・

別室で見学のお母さんたちから
「竹刀が・・・」
と、不安そうに声がもれた。
そばにいた山口幹事が、一瞬目をつぶって小首を傾げた。そして言った。
「竹刀(シナイ)はしないように言ってるんですがねぇ…」
こどもたちの将棋教育方針を巡って、席主と幹事の間で、若干の意見の違いがあるのかもしれない。
新会員の深澤さん

写真は、山口幹事と1日戦を戦う深澤穂(ふかざわめぐむ)四段(深澤勝ち)。横向きの写真となったが、これが本当のプロフィール=横顔である。世の中にはプロフィールだと言って正面からの顔写真を載せる場合が多いが、あれは本当のプロフィールじゃない。「横顔」で象徴するように、単なる人物紹介ではなく、その人の意外な面などを紹介するものこそ本当のプロフィールである。
さて、深澤さん、年齢40歳のサラリーマン。
最近茨城から西条に転勤になり、ただいま単身赴任中。
将棋は大好きで、茨城では四段の認定を受けたとのこと。広島将棋センターにも行かれたとのことだが、ホームページを見て高須クラブに来られたのだと。早速入会手続きをしていただいた。毎回は無理だが今後も参加したいとのことである。
あれ?これじゃ単なる人物紹介でプロフィールとは言えないか ?
将棋はかわりばんこじゃけぇ

この日も藤里の顔が見られた。「将棋はかわりばんこ」が口癖である。かわりばんこに一手づつ指すのだから、どちらかが突然一方的に良くなったりはしないものなんだという信念がある。有利になっても慢心を戒めることになるし、不利になっても悲観してしまわないよう自らを励ます。
盤に向かって集中

ちょっと目を離すと、どったんばったん騒ぎ出してしまう子供たちだが、盤に向かうと姿勢も良くなって集中する。まわりで少々のことが起こっても動じない。その集中ぶりは只者ではない。
手前が東岡・宮瀬(賢)戦で、奥が川西・河口戦である。
清田、深澤に挑戦

清田はこの日、いつもよりこころもち積極的に対局に臨んだ。1日戦で深澤に挑戦、見事勝利した。
進境著しい隅原

隅原は前回より強くなって登場。1日戦(この日10勝して見事初優勝をした)で山口に二枚落ちで挑戦した。伸び盛りの若いエネルギーに接して、山口もなんだか楽しそうだ。隅原、定跡通り4筋と3筋の位をとって、角のパワーをフル活用して、上手の金銀を隅に固まらせる駒組みを順調に進めて行った。だが、ただでさえ老獪で、駒落ちはさらにしたたかな山口の前に健闘はしたが惜しくも敗れる結果になった。だが、二枚落ち卒業は遠くない。
結田も健闘

結田も、二枚落ちで宮瀬賢に挑戦した。宮瀬も最近急速に棋力を伸ばしてきている一人だ。結田は“平手感覚”で矢倉模様に組んだが、下手の角の働きが鈍い反面上手陣はのびのびとしている。これは宮瀬が勝った。宮瀬は、初段らしい風格が出てきている。
その向こうで対局しているのは、この日1日戦で7勝して準優勝の好成績をあげた河口と、最年少ながらその底知れぬ才能が期待される鷹取の対局だ。
川西、清田に挑戦

写真は、この日、1日戦で11局を消化、6勝挙げて3位に入賞した川西の清田戦である。清田の二枚落ちが開始されて間もないころで、川西が一手指して時計を押すところ。両者、勝負は結構厳しいものの、その分楽しそうに盤面に向かっている。結果は川西が勝った。
結田、谷野を破る

結田、今度は谷野に二枚落ちで挑戦した。結田は、自信を持って大切な飛車・角をぶった切り、上手陣に殺到した。写真は、読み切った結田が、9手詰めの7手目、ただ一つの持ち駒の飛車を打ち込み、時計を押すところ、終局は近い。勝利を確信しつつも口元を締めてやや緊張の結田である。こういうときの緊張と喜びが入りまじった気持ちを味わえるのは将棋の醍醐味の一つだ。この後、△8一玉、▲7一金と、最後まで指し、谷野が「うわぁー」と声を絞り出して、それまでの緊張が一気にほどけた。
谷野先生の熱心な指導は続く

写真左は、この日新入会の篠原悠真(小5)7級。篠原もも3級の弟だ。その向こうはお母さん。盤の向こうに見えるのは新聞将棋欄の切り抜きの束。谷野による、棋譜を盤面に並べての指導である。
将棋は、誰かから教えてもらって強くなれるもんじゃない。自分で強くなるしかないんだ。そのためには、棋譜を並べること、さらに詰将棋を解きなさい…これが谷野の指導方針だ。「自分がそうやってここまで力をつけてきた」というややもすれば押し付けがましくなる経験主義とは一切無縁で、自分の足で全国の将棋道場や将棋指導者に面会し、見聞をひろめつつつかんだ将棋の勉強法であり、自らのかつての野球修業とも重なり合う点があると感じている。
宮瀬・谷野の激突

盤上は駒と駒が激しくぶつかり合って、これ以上はない修羅場になっている。谷野玉はかなり危なくなっている。終局は近い。谷野にとって、対局で負けることがうれしいわけではないが、思えば“よちよち歩き”のような状態の将棋を指していた宮瀬が、ビシビシと厳しい手を連発させて、自玉を情け容赦なく攻め上げるまでに成長してくれたことは、今、最高にうれしいことのひとつだ。


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